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小原由夫のアナログ歳時記 9月17日(火)

オーディオ評論家 小原由夫 による
今日の一曲と日常の記録
レコードと共に時を刻む

9月17日(火)晴れ時々曇り

 9月はなにかと気忙しい。毎年カーオーディオのイベントが月初にあり、中旬には年中行事の地元神社の祭礼。この2件の日程が重なったりするとかなり厄介で、仕事に穴を開けるわけにいかないし、町内会の三役を仰せ使っている身として祭礼の欠場は憚られる。過去にはそんな悲劇的な事態がまさしくあったのだが、まだ町内会の重要ポストに着いていない頃だったので、仕事を優先させてもらった(後で多少顰蹙(ひんしゅく)を買ったようだったが…)。

 外国語で祭りは「フェスティバル(Festival)」、または「Feast」。『○○音楽祭』とか、『××フェスティバル』と銘打ったアルバムは数多くリリースされているが、そのほとんどはライブ盤で、祭をテーマにした楽曲は、ポップスもジャズも、意外とあるようでない(歌謡曲や演歌にはたくさんあったような…)。

 一方でクラシックにはあれこれ結構ある印象だ。謝肉祭とか、宗教的祝祭とか、西洋文化特有のものが大半だけれど…。

 手持ちのクラシック・レコードの中で祭ですぐ思い浮かぶのが、米Reference Recordsの「FIESTA!」。ハワード・ダン指揮、ダラス吹奏楽団の演奏だ。グラミー賞の優秀録音賞に何度もノミネートされているエンジニア/キース・O・ジョンソン氏が録音技師として関わっている高音質レーベルからの91年作。

 でもこれ、手に入れた時から盤が反っているんだよね。2枚組のうちの1枚の外周側が部分反りしていて、針圧が軽いと危うくカートリッジがバウンドしそうになる。

 盤面の中心部を押さえる一般的なセンタースタビライザーは、こういう反りにはあまり効果がないので困るワケだが、AP-01には必殺の飛び道具、外周スタビライザー(別売オプション)がある! これを使えば外周型の部分反りもほぼ解消できるのだ。これはセンタースタビライザーと併用して初めて相乗効果が期待できるもので、まずセンタースタビライザーを置き、次いでレコードの外の縁に沿って外周スタビライザーをそっと乗せる。慣れるまで、これがおっかなびっくりでね。

 それはそうと、このレコード、無茶苦茶音がいい! A面1曲目、H.Owen Reedの「La Fiesta Mexicana」は、鐘の音に続いて振り落とされるグランカッサ(大太鼓)の響きの重く豊かなことといったらない。ステージ奥の方から鳴り響く鼓笛隊の合奏もたいそう立体的だ。高音域の伸びやかさも素晴らしいが、重心の低い安定した低音域は圧巻。外周スタビライザーのおかげで、それが少しも危なげなく堂々と再現される。

STABILIZER
専用外周スタビライザー

 そういえば“反り”で思い出した。11月には町内対抗の大運動会が小学校の校庭であるんだったっけ。綱引きはここ数年初戦敗退しているから、今から縄持つ練習をして身体を反らせてみるか!?

「綱を引くときは、責任を負わなくて済む中腹のポジション!」
執筆者 プロフィール

小原 由夫
オーディオ評論家。測定器メーカーのエンジニア、編集者という経歴をバックボーンに、オーディオおよびオーディオビジュアル分野に転身。ユーザー本位の姿勢でありながら、切れ味の鋭い評論で人気が高い。
自宅には30帖の視聴室に200インチのスクリーンを設置。サラウンド再生を実践する一方で、7000枚以上のレコードを所持。