ここで無理矢理、落葉イコール枯葉ときて、ジャズの大スタンダードナンバー、「Autumn Leaves」にこじつけることになるわけだが、これは元々シャンソンの名曲。1945年のバレエ「ランデ・ヴー」のために書かれたジョセフ・コスマの曲に、後にジャック・プレヴェールが詞をつけ、50年にジョニー・マーサーが英語詞を書いたとされている。
ジャズを筆頭にたくさんの演奏が残されているが、私が即座に思い浮べるのは、女性ジャズ・ヴォーカリスト、サラ・ヴォーンが82年にリリースした「Crazy and Mixed Up」に収録されている「Autumn Leaves」だ。
なんとここでのサラ、素敵な歌詞に反発でもしたのか、全編スキャットで歌っているんだなこれが!スキャットとは、即興的な歌唱法で、擬声語等を使って歌う独唱のこと。「シャバダバ」や「ドゥビドゥバ」といった音声をメロディーに合わせて歌うのだが、このアルバムでのサラの「Autumn Leaves」は、それが元々の歌詞であるかのようにサラリと、しかも抑揚や強弱を巧みに駆使して歌っている。その様が実にかっこいい。テンポはオリジナル曲よりずっと早く、ギター・カルテットの伴奏では、イントロと間奏部のジョー・パスによるソロが素晴らしい。一般的な「Autumn Leaves」しか聴いたことがない人にとって、このサラ版は、新鮮というか、かなり衝撃的だろう。