それまでに自身のプレイでの多重録音作を2枚制作してきたエヴァンスだが、無伴奏による完全な独創ピアノ作品は、公式には本盤が初となる。自身によるライナーノーツの中で、「プロの演奏家であるにも関わらず、聴衆のいない環境での演奏をどちらかというと好む」と発言している。それだけ本作には彼のピュアな心情がストレートに演奏に反映されていると見ていいだろう。例えば片面(SIDE-B)全面にカッティングされた14分にもおよぶ「Never Let Me Go」は、聴いていて心が洗われるようで、グイグイと演奏に引き込まれる。あまりに美し過ぎるのだ。