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【OTOTEN2026 共同出展 対談企画】Vol.03 土岐泰義様 (株式会社 光城精工) 後編

OTOTENを6月に控え、今年もサエクコマース・光城精工・前園サウンドラボ・由紀精密の4社合同で出展をします。この4社合同という形式も今年で4年目。4社が仲良しなことも段々とお馴染みになってきているようです。
そこで、そんな4社の輪郭がこれまでより少しはっきりと見えてくるような読み物をお届けします。

OTOTENや試聴会ではあまり語られることのなかったパーソナルな部分や4社が集まった経緯、関係性、それぞれの設計思想。

OTOTENの前に読むと、当日の景色がこれまでとは少し違って見え、
OTOTENの後に読むと、「なるほど、こんな背景があったのか」と答え合せができるかもしれません。

第三回目は光城精工の土岐さんと由紀精密の永松の対談です。場所は都内某所の貸会議室。前後編で語ります。

【前編はこちら】

株式会社光城精工  取締役 電源事業部部長 土岐泰義(WEB)
株式会社由紀精密 取締役社長 永松純

インタビュアー:株式会社由紀精密 佐竹大祐

土岐さんは本当に一曲もかけずにデモを終えたことがあるのか?
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土岐さんにまつわるウワサについて

佐竹:次は、SAECの北澤さんやZONOTONEの前園さんとの対談でも話題にあがった件についてです。土岐さん、どこかのイベントでデモの持ち時間の最初から最後まで喋り続けて1曲もかけなかったことがあるって聞いたんですけど。

土岐:え!? それは前園さんのお父さんのことでしょ?

永松:土岐さんもやってるんです(笑)。私、その時いたんですよ。

土岐:え!?1曲もかけなかったの?OTOTENで?

永松:いや、確かOTOTENではなくて11月のハイエンドオーディオ&アクセサリーショウの時だったと思うんですけど。1曲もかけないで、最初から最後まで説明して終わっちゃった(笑)。

土岐:えーっ!?さすがに1曲くらいはかけてるんじゃない?

永松:それが、立ち会ってた自分も「あれ?土岐さん今、1曲もかけなかったよね!?」って驚いた覚えがあって(笑)。

土岐:えー!?

佐竹:まあ、レコードをかけたかどうかは一旦置いておきましょう(笑)。それにしても、土岐さんはデモの時にものすごく喋るじゃないですか。沢山の情報がギュっと詰まってる印象なんですが、さきほどのお話(詳しくは前編を参照)からすると緊張した結果として言葉数が増えちゃう感じですか?

土岐:多分そう。緊張して早口になってると思うんだよな。それと、やっぱり伝えたいんだろうね。口で伝えてないで音で伝えりゃいいのに(笑)。

永松:でも、土岐さんの話はわかりやすいですよね。この間、オーディオ業界ではない企業さんとの打合せに土岐さんにも入ってもらったことがあるんです。その時に土岐さんが「クリーン電源を中心にこういった考え方でやってるんです」って説明してくれたんですけど、相手はオーディオ業界の方ではないので普段とは違う話し方をされてたんです。それがすごくわかりやすかったんですよ。あれは面白い話が聞けたって思ってます。

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津軽弁は武器

佐竹:以前から思ってるんですけど、土岐さんは今みたいに普通にお話しされてる時よりも、デモなどでお話されている時の方が津軽弁、出てますよね。

土岐:それは、あえて。以前にトライオードの山﨑社長と一緒にイベントをやったことがあって、最初は今みたいに標準語っぽく話してたんですけど、2回目の時かな?山﨑さんが「土岐さん、せっかく青森出身なんだから津軽弁でやったらどう?」って言ってくれて、それで面白いかもしれないと思ってやるようになったんだよね。だけど、最近はそういう場での津軽弁に標準語が混じってきちゃうこともあって…

永松:うっかり標準語で喋った後に「しまった!」って言って津軽弁に戻してウケたりしてますよね(笑)。

土岐:でも、津軽弁って言ったって本当の土着の津軽弁じゃなくてイントネーションをそうしているだけであって、本当の津軽弁を使ったら誰もわからないと思う(笑)。

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実は音響メーカーで働きたかった

佐竹:話を戻すんですけど、ここまでのお話からすると土岐さんはオーディオの仕事をしたくて今の仕事に就かれたというよりは、仕事の流れからオーディオ業界に来られた、といった感じですか?

土岐:結果的にはそうですよね。でも、さっき工業高校で「研究所へ行きたい」って騒いでた話をしましたけど、実は音響メーカーに行きたいとも思ってたんですよ。

佐竹:それは何か理由があったんですか?

土岐:やっぱりオーディオが好きだったんでしょうね。うちの親父も少しオーディオ好きで、最初はシステムともコンポとも言えないような、ラジカセがちょっと立派になったような物しかなかったんだけど、だんだんと機材を揃えるようになってきて、それを自分も「楽しいな」と思って見てたんですよ。自分でも高校生の頃には少しオーディオを触るようになってたし。特に好きな音楽ジャンルがあったわけでもなくて、普通に歌謡曲を聴いてたんだけどね。時代的には高校の頃に親父がCDプレイヤーを買ってきて、でもアナログプレイヤーもまだあって、レコード屋行っても両方置いてるような状態。だから、友達ともレコードの貸し借りとかはしていて、オーディオ熱って程じゃないけども、日常的に聴く機会があったんだよね。それで、「エンジニアとしてオーディオメーカーに勤めてみたいな」って思っていたんだろうね。
実は工業高校からメーカーへの就職には枠があって、確かその中にVictorもあったから希望したんだけど、先生から「お前には無理だと思う」って言われて(笑)。

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オーディオ業界側に立って感じること

佐竹:今はまわり回ってオーディオアクセサリーを扱っているわけですが、関わり始めた時はどう思われたんですか?

土岐:嬉しかったですね。さっきも話した通りで、理化学機器とかを相手にしてた時は、結果が出るまでに何ヶ月もかかっていたわけだけど、オーディオは聴いてもらってすぐに答えが出る。しかもそれで「いいね」なんて言ってもらえると嬉しいじゃないですか。
それと、高校時代に目指したかった仕事の一つではあったので「オーディオに関われるんだ!」って嬉しかったです。

永松:私もちょっと似た感覚があって、私の場合は元々音楽が大好きで子供の頃から家でもめちゃくちゃ聴いてたんですけど、オーディオという楽しみ方を教えてもらったのは大学生になってからなんです。そこから中古品を買い漁ったり、インターナショナルオーディオショーでTANNOYのプレゼンを聴いたりとか。で、そのTANNOYのブースでオーディオ評論家の柳沢光力さんが解説をされてたんです。そのデモの後も柳沢さんがいらっしゃったのでCDを持って行って「これ、ここで聴いてもいいですか?」って聞いてみたら「いいよ!」って言ってくださったんです。そういった経験もあって「オーディオのデモって面白いんだな」って思っていたのが、今は逆に自分が話す立場になってます。ちょっと不思議な感覚で面白いなって思ったことがあります。

佐竹:あの頃優しくしてくれた大人の側になったわけですね。

土岐:でもね、永松さんも北澤さんも前園さんもそういう環境で育って音楽とかオーディオに接してますよね。だから皆さんと比べると、そこに関して自分はちょっと希薄かな、と思いますね。

永松:いやいや、そもそもがエンジニアリングから来てるわけですからね。そういう意味では私もそうですよ。AP-01の事業は元々、オーディオというよりもエンジニアリングから始まっているんです。由紀精密の技術と自分の好きなオーディオが重なることに気づいて、そこから初めてターンテーブルを作るという方向に進んだので。もちろん、元からオーディオは大好きで、「何かできたらいいな」とぼんやり思ってはいましたけど、エンジニアからオーディオ事業に入っていったという背景は同じなんです。なので、「いいもの作れば売れるよね」「みんながきっと認めてくれるだろう」っていう頭があったのも同じで(笑)。

佐竹:その発想は「エンジニアあるある」なんですか?

永松:あるあるですね。

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エンジニアは技術の話が止まらない

土岐:自分たちもそうですけど、メーカーってこういうWebサイトにも技術的な解説をすっごい入れるんですよ。言いたくてしょうがない(笑)。でも極端な話、聞く側にしてみたらその辺りは割とどうでもいい話かもしれないんですよね。それよりも、「使ったらどうなるの?どう聴こえるの?」っていう部分の方がお客さんにとっては大事かもしれない。それでも技術的なことを言いたくて仕方ないんだけど(笑)。

永松:SAECの橋爪さんに言われました。私のデモを聞いてらっしゃって、「永松さん、技術の話を沢山したくなるのはわかるけど、そんなに話してもみんな聞いてないからやめた方がいいですよ。」って(笑)。

佐竹:確かに橋爪さんもデモでかなり話されますけど、技術的なことはそんなに長く触れないですね。

永松:そう。ちょこっとエッセンス的に挟みこむんです。でも、それが何故か心に残るんですよ。技術的な部分はポイントだけスッと話されて、その後は「このレコードから聴こえるこの部分を聴いて欲しい。それはこの技術があるからこう聴こえるんだ」といったお話をされますね。

土岐:自分もSNSとかでは結果を先に言うようにしてるんです。最近あんまり更新しなくなっちゃってるけど、「これを使うとこうなる」ってことを先に伝えるよう心がけてます。技術的な細かい話はその後でいいんですよね。自分だったら「いいから早く聴かせて」って思うんで。その割に1曲もかけないこともあるんだけど(笑)。

永松:光城精工さんのWebサイトの構成も今のお話に近いですよね。深く知りたい方は製品の個別のページで読めるし、でもその一つ前の製品が並んでいるページにも一言書いてあるんで、これだけで十分という方にも対応されてますよね。
【→光城精工 WEBサイト】

土岐:SNSもそうですけど、まず目を止めてもらうためにわかりやすく出して、気になったらその先を読める感じにしておかないとって思ってる。

永松:気にしてもらうのは大事ですよね。光城精工さんのバナーに「2ch超越ゾーン突入」って書いてあるじゃないですか。あれね、私もOTOTENのブースとかでよくお客さんから聞かれるんですよ。「2ch超越ゾーンってどういう意味ですか?」って(笑)。もうそれだけで大正解ですよね。わかりやすいことをサラっと書いてるだけだと「あー、そういうことね」としか思わないけど、「なんだろう!?」って興味を持ってもらえてますよね。

土岐:あれ?あのバナーはあれでもわかりやすく書いたつもりなんだけど(笑)。

光城精工の特殊な製品群は何故生まれたのか?
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製品群の中心にあるもの

佐竹:光城精工さんの製品ラインナップって、数あるオーディオアクセサリーメーカーの中でも結構特殊な立ち位置なのかなって思うんです。こういったラインナップになったのは何故ですか?

土岐:一応自分なりにマップはあるんですよ。ロードマップじゃなくて展開マップみたいなもので。Webサイトにも「世界中の電源をきれいに」ってキャッチが書いてあると思うんですけど、その考えを中心にしてそれを実現するためのクリーン電源、電源タップなどなどってことなんです。場合によっては枝分かれした製品も出てくるかもしれないんですけど、根っこには「世界中の電源をきれいに」という考えがあって、そこから派生させていくイメージ。それで言うと、これからケーブルもやります。

佐竹:あれ?電源ケーブルはもうやってらっしゃいますよね?

土岐:電源ケーブルだけじゃなくて、SAECさんとZonotoneさんにガチンコでぶつけに行くような信号ケーブル、インターコネクトケーブル、スピーカーケーブルをやる。以前、永松さんにも少し話したんだけど、見ただけでも驚くような物が出来そうです。

佐竹:そのケーブルはOTOTENには出ないですか?

土岐:持っていきたかったの。でもまだ形になってなくて、形にするための材料も入ってこなくて、さすがに無理だな。

永松:ナフサの関係ですか?あれでケーブル関係は大変なことになってますね。

土岐:そう。ケーブルの材料に使ってなくても、その材料を作るためにナフサが必要だったり、梱包材にも使われるんで。

佐竹:いつかお目見えする日を楽しみにしておきます。先ほどおっしゃっていた「世界中
の電源をきれいに」を中心とした世界観の中で、他にもやりたいことはあるんですか?

土岐:オーディオのキーワードとして「ノイズ」「振動」「静電気」があると思うんですけど、ここに関係するものはやりたいと思ってる。そうすると、世界中の電源がきれいになってくる。

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キャッチフレーズ「世界中の電源をきれいに」はどう生まれたか

佐竹:そう言えば、「世界中の電源をきれいに」っていうキャッチフレーズも土岐さんが考えたんですか?

土岐:これは違うんですよ。10年以上前に輸出の仕事で台湾に行くことになった時にJETRO(日本貿易振興機構)さんにお願いして付き添ってもらったんです。その時のコンサルタントの方から「光城精工さんがこれからこういう仕事をやっていく上で、会社としてのコンセプトみたいなものがあった方がいい。『世界中の電源をきれいにする』とかどうですかね?」って言われて、「そうします!」って(笑)。

佐竹:え!?てっきり熟考に熟考を重ねられたのかと。

土岐:そのまんまもらった(笑)「本当にそれが達成できるかは別として、会社の将来を見据えた立ち位置としてコンセプトは持っていた方がいいんじゃないかな?」っておっしゃられてて、確かにそういうのを持っておくと、新しい製品を作るにしてもブレなくて済みますよね。新しい製品のアイデアが浮かんだとして、「それはこのコンセプトに繋がるの?」って考えられるし、そこに繋がらないんだったら手を出さない判断もできる。

永松: CIのお話でもあると思うんですけど、そこから外れたことに手を出さないようにすることは大事ですよね。。

土岐:英語表記では「Let’s purify the power」ってしてるんですけど、それもその方から教えてもらって、そのままもらった(笑)。
でも、「世界中の電源をきれいに」って言葉もすぐにコンセプトとして使い始めたわけじゃないんです。しばらくその言葉がずっと自分の中に引っかかってはいたんですけど、「今後を考えると、やっぱり会社としてコンセプトを持つべきだよな」と改めて思ったんです。それからは勝手に自分のメールの末尾に「世界中の電源をきれいに」って付けるようになったんです。そしたら段々と周りの人もメールに付けるようになっていった(笑)。

今年のOTOTENでは何を出品する?
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間に合えば...

佐竹:最後の質問です。光城精工は今年のOTOTENには何を出されるのでしょうか?

土岐:間に合うかどうかわかんないんだけど、持っていきたい物はKATANAの次期モデル。
【→KATANA ❘ 光城精工】

佐竹:これ大きいですね。

土岐:そう。重さも50kgくらいある。でも、持って行けたとしても現段階では海外向けに作ってるから音は出せない。展示だけになっちゃいます。
それと仮想アースの最上位モデルをできれば3ラインナップ。それとタップ。この間、Platinumっていう限定モデルを出したんですけど…
【→Platinum ❘ 光城精工】

永松;ありましたね。タコ焼き器の横バージョンのやつ。

土岐:そうそう。Platinumは限定だったんだけど、この技術を使ってもう少し安くした物を考えてます。

佐竹:新製品が色々とお目見えしそうですね。楽しみにしています。
では最後に、この連載のシメということで読者の皆さんに向けて何か一言お願いします!

土岐:えーっ!?思いつかない…ちょっとチャッピーに聞いてみるね(笑)

インタビュアー佐竹による 編集後記
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OTOTEN2026 開催に向けて

今回は光城精工の土岐さんと由紀精密の永松の対談の模様をお送りしました。
この連載は今回が最終回です。元々は、今年のOTOTEN(2026年6月19日~21日)に向けて、これまであまりデモの中では語られることのなかった4名の経歴やパーソナルな部分、関係性、設計思想などをふんだんに盛り込んだコンテンツを作りたいと思って始めた企画でした。振り返ってみると本当にみなさん何でも答えてくださって、話はどこまでも広がり、尺の都合上、泣く泣く掲載を断念したエピソードも沢山ありました。
また、経歴も年齢も性格も異なる4名ですが、お話を伺っていると共通点も浮かび上がってきました。特に共通すると感じたのは仕事への熱量と人柄でしょうか。
この4名が引っ張って行くのであれば、今年もOTOTENのうちのブース(G-605)は面白くなるだろうな、と思います。
OTOTEN 2026はもうすぐそこ!お楽しみに!

最後までお読みいただきありがとうございました。

後日、土岐さんからシメの一言が送られてきたので掲載しておきます。
「今年もG-605が熱い!4社の話題作が続々登場。多数のご来場お待ちしております。」とのことでした。