YUKISEIMITSU AUDIO

2026年6月

2026/5/16~17 ホーム商会 イベントレポート

こんにちは、由紀精密の佐竹です。24回目のYUKISEIMITSU AUDIO REPORTです。今回は東京都目黒区のオーディオ販売店「ホーム商会」でのイベントの模様をお送りします。

都内のオーディオ販売店でのイベント開催は久しぶりです。実は、ホーム商会には今年の1/21~2/16の間にもAP-01を展示、試聴できる環境を整えてもらっていました。その際の反響が大きかったこともあり、「折角なので試聴イベントを開催しませんか?」とお声がけいただき、開催の運びとなりました。
Phasemation、TADのご協力のもと、オーディオ評論家の小原由夫先生にデモンストレーションをご依頼し、充実した内容となりました。

当初、イベントは5/16(土)1回のみの開催予定だったのですが、なんと告知翌日にはご予約で満席となり、急遽5/17(日)も追加開催としました。ところが、その追加分も数日後には売り切れ。両日ともに満席での開催になったことは感謝しかありません。

当日は2日とも熱気に包まれました。オーディオ熱の高いお客様ばかりで、両日とも30分~1時間の延長となりました。それだけ延長しても、「まだまだ聴いて頂きたいレコードがあるんですが…」と名残惜しそうに締めくくられていた小原先生の姿が印象に残っています。

イベント終了後もみなさんの熱は冷めやらず、ほとんどの方がAP-01の近くまで来られて沢山お話をさせて頂くことが出来ました。密度の濃い、あっという間の2日間でした。

[機材セッティング一覧]
Analog Player:AP-01(YUKI)
Cartridge:PP-5000(Phasemation)
Phono AMP:E-2 Ver.2(SOULNOTE)
Pre AMP : TAD-C1000(TAD)
AMP:TAD-M2500TX(TAD)
SP:TAD-GE1(TAD)

今回のイベントにあたり快く機材をお貸し出し頂いたPhasemationさんとTADさんに改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

以上、東京のホーム商会での試聴イベントレポートでした。なお、イベント自体は2日間で終了しましたが、AP-01はその後5/31まで展示していただいていたので、そのタイミングでお聞きになられた方もいらっしゃるかもしれません。

残念ながら今回はご来店の叶わなかった方々、「また聴きたい」と感じていただいた方々、由紀精密はこれからも日本各地(たまに海外にも)でご試聴いただける機会を作っていきます。またの機会にお会い出来ることを楽しみにしております。

その他のイベントスケジュールも決まり次第、ホームページやSNSでお知らせして参ります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

buck number

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2026/5/9~10 Sfera「AP-01 Listening Session – Coffee & Analog Sound -」イベントレポート

こんにちは、由紀精密の佐竹です。YUKISEIMITSU AUDIO REPORT の23回目は再び京都からお送りします。

昨年末から年始にかけ、京都・祇園にあるSferaにてイベントを開催しました。その時の様子はこちら
今回はSferaでのイベント第二弾です。天候にも恵まれ、やはり新緑から初夏に移り変わる時期も京都は美しく、古刹、名刹、鴨川と目を引きます。

今回のイベントは二つの期間に分かれていました。
まず、4/18~5/8の間はSfera 1Fのインテリアショップ(Sfera Shop)(https://ricordi-sfera.com/)でのAP-01の展示です。

こちらでは、KEFの協力のもと、Coda Wという新発売のスピーカーを使用しました。Coda WはワイヤレスWi-Fiスピーカーなのですが、フォノ入力もアンプ機能も持ち合わせたパワードスピーカーで、AP-01から直接入力ができます。さらに、コンパクトなボディからは想像できないクリアで芯のあるサウンド、今回の展示との相性は抜群でした。

この期間にご来店いただいたお客様の中には、AP-01とCoda-Wの音をお楽しみ頂けた方もいらっしゃるかと思います。

続く5/9と5/10はSfera 0Fのカフェ(Café DOnG by Sfera)にて試聴会を実施。こちらのカフェ、一方の入り口は鴨川沿いの遊歩道に面しているため、大きな窓から入り込む木漏れ日が心地良い空間です。

また、この期間中は京都のWeekenders Coffeeさん(https://www.weekenderscoffee.com/)のコーヒーと大阪の餅匠しづくさん(https://mochi-shizuku.jp/)のお菓子を味わいながら音楽をお楽しみいただけるというコンセプトでお楽しみいただきました。

事前にご予約いただいていた方、店内から漏れる音楽に誘われるように立ち寄られた方、前回のイベントにもお越しくださった方、さらにその方から誘われたお友達…本当に多くのお客様にAP-01の音を聴いていただけたことは嬉しい限りです。

特に5/10は予約枠を設けなかったこともあり、様々なタイミングでお客様がお越しになりました。音楽を楽しむ方、お友達とのお話に興じる方、コーヒーやお菓子に舌鼓を打つ方など思い思いに過ごされていて、ライブ感・グルーヴ感のある1日となりました。会場の向こうには遊歩道の新緑が踊って見え、AP-01が祇園の一部に溶け込めたように感じた瞬間でした。

[機材セッティング一覧]

2026/4/18~5/8
Analog Player:AP-01(YUKI)
SP:Coda W(KEF)

2026/5/9,5/10
Analog Player:AP-01(YUKI)
Cartridge:Hyper Eminent(My Sonic Lab)
Phono AMP:E-2(SOULNOTE)
AMP:(YAMAHA)
SP:HL-Compact7ES-3 XD2(Harbeth)

今回のイベントにあたり快く機材をお貸し出し頂いたKEFさんとサエクコマースさんに改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
以上、京都Sferaで開催された「AP-01 Listening Session – Coffee & Analog Sound -」のイベントレポートでした。

改めまして、ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました!

また、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

buck number

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【OTOTEN2026 共同出展 対談企画】Vol.03 土岐泰義様 (株式会社 光城精工) 後編 公開

OTOTENを6月に控え、今年もサエクコマース・光城精工・前園サウンドラボ・由紀精密の4社合同で出展をします。この4社合同という形式も今年で4年目。4社が仲良しなことも段々とお馴染みになってきているようです。
そこで、そんな4社の輪郭がこれまでより少しはっきりと見えてくるような読み物をお届けします。

OTOTENや試聴会ではあまり語られることのなかったパーソナルな部分や4社が集まった経緯、関係性、それぞれの設計思想。

OTOTENの前に読むと、当日の景色がこれまでとは少し違って見え、
OTOTENの後に読むと、「なるほど、こんな背景があったのか」と答え合せができるかもしれません。

第三回目は光城精工の土岐さんと由紀精密の永松の対談です。場所は都内某所の貸会議室。前後編で語ります。

【OTOTEN2026 共同出展 対談企画】Vol.03 土岐泰義様 (株式会社 光城精工) 後編

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【OTOTEN2026 共同出展 対談企画】Vol.03 土岐泰義様 (株式会社 光城精工) 後編

OTOTENを6月に控え、今年もサエクコマース・光城精工・前園サウンドラボ・由紀精密の4社合同で出展をします。この4社合同という形式も今年で4年目。4社が仲良しなことも段々とお馴染みになってきているようです。
そこで、そんな4社の輪郭がこれまでより少しはっきりと見えてくるような読み物をお届けします。

OTOTENや試聴会ではあまり語られることのなかったパーソナルな部分や4社が集まった経緯、関係性、それぞれの設計思想。

OTOTENの前に読むと、当日の景色がこれまでとは少し違って見え、
OTOTENの後に読むと、「なるほど、こんな背景があったのか」と答え合せができるかもしれません。

第三回目は光城精工の土岐さんと由紀精密の永松の対談です。場所は都内某所の貸会議室。前後編で語ります。

【前編はこちら】

株式会社光城精工  取締役 電源事業部部長 土岐泰義(WEB)
株式会社由紀精密 取締役社長 永松純

インタビュアー:株式会社由紀精密 佐竹大祐

土岐さんは本当に一曲もかけずにデモを終えたことがあるのか?
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土岐さんにまつわるウワサについて

佐竹:次は、SAECの北澤さんやZONOTONEの前園さんとの対談でも話題にあがった件についてです。土岐さん、どこかのイベントでデモの持ち時間の最初から最後まで喋り続けて1曲もかけなかったことがあるって聞いたんですけど。

土岐:え!? それは前園さんのお父さんのことでしょ?

永松:土岐さんもやってるんです(笑)。私、その時いたんですよ。

土岐:え!?1曲もかけなかったの?OTOTENで?

永松:いや、確かOTOTENではなくて11月のハイエンドオーディオ&アクセサリーショウの時だったと思うんですけど。1曲もかけないで、最初から最後まで説明して終わっちゃった(笑)。

土岐:えーっ!?さすがに1曲くらいはかけてるんじゃない?

永松:それが、立ち会ってた自分も「あれ?土岐さん今、1曲もかけなかったよね!?」って驚いた覚えがあって(笑)。

土岐:えー!?

佐竹:まあ、レコードをかけたかどうかは一旦置いておきましょう(笑)。それにしても、土岐さんはデモの時にものすごく喋るじゃないですか。沢山の情報がギュっと詰まってる印象なんですが、さきほどのお話(詳しくは前編を参照)からすると緊張した結果として言葉数が増えちゃう感じですか?

土岐:多分そう。緊張して早口になってると思うんだよな。それと、やっぱり伝えたいんだろうね。口で伝えてないで音で伝えりゃいいのに(笑)。

永松:でも、土岐さんの話はわかりやすいですよね。この間、オーディオ業界ではない企業さんとの打合せに土岐さんにも入ってもらったことがあるんです。その時に土岐さんが「クリーン電源を中心にこういった考え方でやってるんです」って説明してくれたんですけど、相手はオーディオ業界の方ではないので普段とは違う話し方をされてたんです。それがすごくわかりやすかったんですよ。あれは面白い話が聞けたって思ってます。

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津軽弁は武器

佐竹:以前から思ってるんですけど、土岐さんは今みたいに普通にお話しされてる時よりも、デモなどでお話されている時の方が津軽弁、出てますよね。

土岐:それは、あえて。以前にトライオードの山﨑社長と一緒にイベントをやったことがあって、最初は今みたいに標準語っぽく話してたんですけど、2回目の時かな?山﨑さんが「土岐さん、せっかく青森出身なんだから津軽弁でやったらどう?」って言ってくれて、それで面白いかもしれないと思ってやるようになったんだよね。だけど、最近はそういう場での津軽弁に標準語が混じってきちゃうこともあって…

永松:うっかり標準語で喋った後に「しまった!」って言って津軽弁に戻してウケたりしてますよね(笑)。

土岐:でも、津軽弁って言ったって本当の土着の津軽弁じゃなくてイントネーションをそうしているだけであって、本当の津軽弁を使ったら誰もわからないと思う(笑)。

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実は音響メーカーで働きたかった

佐竹:話を戻すんですけど、ここまでのお話からすると土岐さんはオーディオの仕事をしたくて今の仕事に就かれたというよりは、仕事の流れからオーディオ業界に来られた、といった感じですか?

土岐:結果的にはそうですよね。でも、さっき工業高校で「研究所へ行きたい」って騒いでた話をしましたけど、実は音響メーカーに行きたいとも思ってたんですよ。

佐竹:それは何か理由があったんですか?

土岐:やっぱりオーディオが好きだったんでしょうね。うちの親父も少しオーディオ好きで、最初はシステムともコンポとも言えないような、ラジカセがちょっと立派になったような物しかなかったんだけど、だんだんと機材を揃えるようになってきて、それを自分も「楽しいな」と思って見てたんですよ。自分でも高校生の頃には少しオーディオを触るようになってたし。特に好きな音楽ジャンルがあったわけでもなくて、普通に歌謡曲を聴いてたんだけどね。時代的には高校の頃に親父がCDプレイヤーを買ってきて、でもアナログプレイヤーもまだあって、レコード屋行っても両方置いてるような状態。だから、友達ともレコードの貸し借りとかはしていて、オーディオ熱って程じゃないけども、日常的に聴く機会があったんだよね。それで、「エンジニアとしてオーディオメーカーに勤めてみたいな」って思っていたんだろうね。
実は工業高校からメーカーへの就職には枠があって、確かその中にVictorもあったから希望したんだけど、先生から「お前には無理だと思う」って言われて(笑)。

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オーディオ業界側に立って感じること

佐竹:今はまわり回ってオーディオアクセサリーを扱っているわけですが、関わり始めた時はどう思われたんですか?

土岐:嬉しかったですね。さっきも話した通りで、理化学機器とかを相手にしてた時は、結果が出るまでに何ヶ月もかかっていたわけだけど、オーディオは聴いてもらってすぐに答えが出る。しかもそれで「いいね」なんて言ってもらえると嬉しいじゃないですか。
それと、高校時代に目指したかった仕事の一つではあったので「オーディオに関われるんだ!」って嬉しかったです。

永松:私もちょっと似た感覚があって、私の場合は元々音楽が大好きで子供の頃から家でもめちゃくちゃ聴いてたんですけど、オーディオという楽しみ方を教えてもらったのは大学生になってからなんです。そこから中古品を買い漁ったり、インターナショナルオーディオショーでTANNOYのプレゼンを聴いたりとか。で、そのTANNOYのブースでオーディオ評論家の柳沢功力さんが解説をされてたんです。そのデモの後も柳沢さんがいらっしゃったのでCDを持って行って「これ、ここで聴いてもいいですか?」って聞いてみたら「いいよ!」って言ってくださったんです。そういった経験もあって「オーディオのデモって面白いんだな」って思っていたのが、今は逆に自分が話す立場になってます。ちょっと不思議な感覚で面白いなって思ったことがあります。

佐竹:あの頃優しくしてくれた大人の側になったわけですね。

土岐:でもね、永松さんも北澤さんも前園さんもそういう環境で育って音楽とかオーディオに接してますよね。だから皆さんと比べると、そこに関して自分はちょっと希薄かな、と思いますね。

永松:いやいや、そもそもがエンジニアリングから来てるわけですからね。そういう意味では私もそうですよ。AP-01の事業は元々、オーディオというよりもエンジニアリングから始まっているんです。由紀精密の技術と自分の好きなオーディオが重なることに気づいて、そこから初めてターンテーブルを作るという方向に進んだので。もちろん、元からオーディオは大好きで、「何かできたらいいな」とぼんやり思ってはいましたけど、エンジニアからオーディオ事業に入っていったという背景は同じなんです。なので、「いいもの作れば売れるよね」「みんながきっと認めてくれるだろう」っていう頭があったのも同じで(笑)。

佐竹:その発想は「エンジニアあるある」なんですか?

永松:あるあるですね。

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エンジニアは技術の話が止まらない

土岐:自分たちもそうですけど、メーカーってこういうWebサイトにも技術的な解説をすっごい入れるんですよ。言いたくてしょうがない(笑)。でも極端な話、聞く側にしてみたらその辺りは割とどうでもいい話かもしれないんですよね。それよりも、「使ったらどうなるの?どう聴こえるの?」っていう部分の方がお客さんにとっては大事かもしれない。それでも技術的なことを言いたくて仕方ないんだけど(笑)。

永松:SAECの橋爪さんに言われました。私のデモを聞いてらっしゃって、「永松さん、技術の話を沢山したくなるのはわかるけど、そんなに話してもみんな聞いてないからやめた方がいいですよ。」って(笑)。

佐竹:確かに橋爪さんもデモでかなり話されますけど、技術的なことはそんなに長く触れないですね。

永松:そう。ちょこっとエッセンス的に挟みこむんです。でも、それが何故か心に残るんですよ。技術的な部分はポイントだけスッと話されて、その後は「このレコードから聴こえるこの部分を聴いて欲しい。それはこの技術があるからこう聴こえるんだ」といったお話をされますね。

土岐:自分もSNSとかでは結果を先に言うようにしてるんです。最近あんまり更新しなくなっちゃってるけど、「これを使うとこうなる」ってことを先に伝えるよう心がけてます。技術的な細かい話はその後でいいんですよね。自分だったら「いいから早く聴かせて」って思うんで。その割に1曲もかけないこともあるんだけど(笑)。

永松:光城精工さんのWebサイトの構成も今のお話に近いですよね。深く知りたい方は製品の個別のページで読めるし、でもその一つ前の製品が並んでいるページにも一言書いてあるんで、これだけで十分という方にも対応されてますよね。
【→光城精工 WEBサイト】

土岐:SNSもそうですけど、まず目を止めてもらうためにわかりやすく出して、気になったらその先を読める感じにしておかないとって思ってる。

永松:気にしてもらうのは大事ですよね。光城精工さんのバナーに「2ch超越ゾーン突入」って書いてあるじゃないですか。あれね、私もOTOTENのブースとかでよくお客さんから聞かれるんですよ。「2ch超越ゾーンってどういう意味ですか?」って(笑)。もうそれだけで大正解ですよね。わかりやすいことをサラっと書いてるだけだと「あー、そういうことね」としか思わないけど、「なんだろう!?」って興味を持ってもらえてますよね。

土岐:あれ?あのバナーはあれでもわかりやすく書いたつもりなんだけど(笑)。

光城精工の特殊な製品群は何故生まれたのか?
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製品群の中心にあるもの

佐竹:光城精工さんの製品ラインナップって、数あるオーディオアクセサリーメーカーの中でも結構特殊な立ち位置なのかなって思うんです。こういったラインナップになったのは何故ですか?

土岐:一応自分なりにマップはあるんですよ。ロードマップじゃなくて展開マップみたいなもので。Webサイトにも「世界中の電源をきれいに」ってキャッチが書いてあると思うんですけど、その考えを中心にしてそれを実現するためのクリーン電源、電源タップなどなどってことなんです。場合によっては枝分かれした製品も出てくるかもしれないんですけど、根っこには「世界中の電源をきれいに」という考えがあって、そこから派生させていくイメージ。それで言うと、これからケーブルもやります。

佐竹:あれ?電源ケーブルはもうやってらっしゃいますよね?

土岐:電源ケーブルだけじゃなくて、SAECさんとZonotoneさんにガチンコでぶつけに行くような信号ケーブル、インターコネクトケーブル、スピーカーケーブルをやる。以前、永松さんにも少し話したんだけど、見ただけでも驚くような物が出来そうです。

佐竹:そのケーブルはOTOTENには出ないですか?

土岐:持っていきたかったの。でもまだ形になってなくて、形にするための材料も入ってこなくて、さすがに無理だな。

永松:ナフサの関係ですか?あれでケーブル関係は大変なことになってますね。

土岐:そう。ケーブルの材料に使ってなくても、その材料を作るためにナフサが必要だったり、梱包材にも使われるんで。

佐竹:いつかお目見えする日を楽しみにしておきます。先ほどおっしゃっていた「世界中
の電源をきれいに」を中心とした世界観の中で、他にもやりたいことはあるんですか?

土岐:オーディオのキーワードとして「ノイズ」「振動」「静電気」があると思うんですけど、ここに関係するものはやりたいと思ってる。そうすると、世界中の電源がきれいになってくる。

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キャッチフレーズ「世界中の電源をきれいに」はどう生まれたか

佐竹:そう言えば、「世界中の電源をきれいに」っていうキャッチフレーズも土岐さんが考えたんですか?

土岐:これは違うんですよ。10年以上前に輸出の仕事で台湾に行くことになった時にJETRO(日本貿易振興機構)さんにお願いして付き添ってもらったんです。その時のコンサルタントの方から「光城精工さんがこれからこういう仕事をやっていく上で、会社としてのコンセプトみたいなものがあった方がいい。『世界中の電源をきれいにする』とかどうですかね?」って言われて、「そうします!」って(笑)。

佐竹:え!?てっきり熟考に熟考を重ねられたのかと。

土岐:そのまんまもらった(笑)「本当にそれが達成できるかは別として、会社の将来を見据えた立ち位置としてコンセプトは持っていた方がいいんじゃないかな?」っておっしゃられてて、確かにそういうのを持っておくと、新しい製品を作るにしてもブレなくて済みますよね。新しい製品のアイデアが浮かんだとして、「それはこのコンセプトに繋がるの?」って考えられるし、そこに繋がらないんだったら手を出さない判断もできる。

永松: CIのお話でもあると思うんですけど、そこから外れたことに手を出さないようにすることは大事ですよね。。

土岐:英語表記では「Let’s purify the power」ってしてるんですけど、それもその方から教えてもらって、そのままもらった(笑)。
でも、「世界中の電源をきれいに」って言葉もすぐにコンセプトとして使い始めたわけじゃないんです。しばらくその言葉がずっと自分の中に引っかかってはいたんですけど、「今後を考えると、やっぱり会社としてコンセプトを持つべきだよな」と改めて思ったんです。それからは勝手に自分のメールの末尾に「世界中の電源をきれいに」って付けるようになったんです。そしたら段々と周りの人もメールに付けるようになっていった(笑)。

今年のOTOTENでは何を出品する?
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間に合えば...

佐竹:最後の質問です。光城精工は今年のOTOTENには何を出されるのでしょうか?

土岐:間に合うかどうかわかんないんだけど、持っていきたい物はKATANAの次期モデル。
【→KATANA ❘ 光城精工】

佐竹:これ大きいですね。

土岐:そう。重さも50kgくらいある。でも、持って行けたとしても現段階では海外向けに作ってるから音は出せない。展示だけになっちゃいます。
それと仮想アースの最上位モデルをできれば3ラインナップ。それとタップ。この間、Platinumっていう限定モデルを出したんですけど…
【→Platinum ❘ 光城精工】

永松;ありましたね。タコ焼き器の横バージョンのやつ。

土岐:そうそう。Platinumは限定だったんだけど、この技術を使ってもう少し安くした物を考えてます。

佐竹:新製品が色々とお目見えしそうですね。楽しみにしています。
では最後に、この連載のシメということで読者の皆さんに向けて何か一言お願いします!

土岐:えーっ!?思いつかない…ちょっとチャッピーに聞いてみるね(笑)

インタビュアー佐竹による 編集後記
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OTOTEN2026 開催に向けて

今回は光城精工の土岐さんと由紀精密の永松の対談の模様をお送りしました。
この連載は今回が最終回です。元々は、今年のOTOTEN(2026年6月19日~21日)に向けて、これまであまりデモの中では語られることのなかった4名の経歴やパーソナルな部分、関係性、設計思想などをふんだんに盛り込んだコンテンツを作りたいと思って始めた企画でした。振り返ってみると本当にみなさん何でも答えてくださって、話はどこまでも広がり、尺の都合上、泣く泣く掲載を断念したエピソードも沢山ありました。
また、経歴も年齢も性格も異なる4名ですが、お話を伺っていると共通点も浮かび上がってきました。特に共通すると感じたのは仕事への熱量と人柄でしょうか。
この4名が引っ張って行くのであれば、今年もOTOTENのうちのブース(G-605)は面白くなるだろうな、と思います。
OTOTEN 2026はもうすぐそこ!お楽しみに!

最後までお読みいただきありがとうございました。

後日、土岐さんからシメの一言が送られてきたので掲載しておきます。
「今年もG-605が熱い!4社の話題作が続々登場。多数のご来場お待ちしております。」とのことでした。

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【OTOTEN2026 共同出展 対談企画】Vol.03 土岐泰義様 (株式会社 光城精工) 前編 公開

OTOTENを6月に控え、今年もサエクコマース・光城精工・前園サウンドラボ・由紀精密の4社合同で出展をします。この4社合同という形式も今年で4年目。4社が仲良しなことも段々とお馴染みになってきているようです。
そこで、そんな4社の輪郭がこれまでより少しはっきりと見えてくるような読み物をお届けします。

OTOTENや試聴会ではあまり語られることのなかったパーソナルな部分や4社が集まった経緯、関係性、それぞれの設計思想。

OTOTENの前に読むと、当日の景色がこれまでとは少し違って見え、
OTOTENの後に読むと、「なるほど、こんな背景があったのか」と答え合せができるかもしれません。

第三回目は光城精工の土岐さんと由紀精密の永松の対談です。場所は都内某所の貸会議室。前後編で語ります。

【OTOTEN2026 共同出展 対談企画】Vol.03 土岐泰義様 (株式会社 光城精工) 前編

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【OTOTEN2026 共同出展 対談企画】Vol.03 土岐泰義様 (株式会社 光城精工) 前編

OTOTENを6月に控え、今年もサエクコマース・光城精工・前園サウンドラボ・由紀精密の4社合同で出展をします。この4社合同という形式も今年で4年目。4社が仲良しなことも段々とお馴染みになってきているようです。
そこで、そんな4社の輪郭がこれまでより少しはっきりと見えてくるような読み物をお届けします。

OTOTENや試聴会ではあまり語られることのなかったパーソナルな部分や4社が集まった経緯、関係性、それぞれの設計思想。

OTOTENの前に読むと、当日の景色がこれまでとは少し違って見え、
OTOTENの後に読むと、「なるほど、こんな背景があったのか」と答え合せができるかもしれません。

第三回目は光城精工の土岐さんと由紀精密の永松の対談です。場所は都内某所の貸会議室。前後編で語ります。

株式会社光城精工 取締役 電源事業部部長 土岐泰義 (WEB)
株式会社由紀精密 取締役社長 永松純

インタビュアー:株式会社由紀精密 佐竹大祐

オーディオに関わるようになった経緯
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オーディオに辿り着くまでの紆余曲折

佐竹:この対談も遂に全3回の最後、土岐さんがトリです。今回は青森からほぼこの対談のために東京までお越しいただいたと聞いています。ありがとうございます。
では最初の質問です。土岐さん、ひいては光城精工さんはどういった経緯でオーディオ事業に関わるようになったんですか?

土岐:自分の経歴から話すことになるんだけど、元々は工業高校の電子科出身なんです。大学は出ていません。そのくせ卒業後は研究に関わりたいって思ってたんですけど、成績が大して良くなかったんですよ。それで、就職シーズンになって先生に「研究所に行きたいんですけど」って言ったら、「お前が行ける研究所なんてない」って言われて(笑)。でも、数日したら研究所を見つけてきてくれたんです。そこは今はもう閉所されちゃったんですけど、東北大学のキャンパス内にある半導体の研究所だったんです。

佐竹:土岐さんも半導体出身だったんですね。

土岐:そうなんです。そこの所長が東北大学の名誉教授で総長にもなられた西澤潤一先生という方で、「ミスター半導体」って呼ばれた先生です。ただ、その研究所に自分が直接入所したわけではなくて、まず地元の企業に入社して、そこから派遣される形だったんですね。数年したら元の会社に戻って、その経験や技術を使って新規事業を立ち上げようという流れがあって、そこに乗っかることができた感じです。
その西澤先生が発明した物の一つにSIT(静電誘導トランジスタ)、つまり電力デバイスがあって、そのSITを使ったアプリケーションを研究することになるんです。与えられた課題はスイッチング電源でした。SITを効率よくドライブして、電力損失が少なく、発熱を小さくすることを目指したSITの応用技術ってことですね。
その研究所には2年くらいいたのかな。で、元の会社に戻ってきたら今度はその会社が経営難になって、その部門が切り離されちゃったんです。それで受け皿がなくなったんですが、地元の青森市の商工会議所の会頭さんや副会頭さん、当時の市長さんなんかが起業してくれたので、今度はそこでSITを利用したUPS(無停電電源装置)なんかを作ったんです。
でも、そのSITって高くて1個数万円もするんですよ。しかもそれでUPSを作るには複数個使わなきゃいけなかったりするんです。それこそ、当時パソコンのバックアップ用のUPSなんかは既に市場に数万円で出てたんですよね。そこに何十万円もするようなUPSを作っちゃうわけです。

永松:SITを使ったUPSは世の中にはなかったから、その技術を使ってなんとか製品化しようとすると、どうしてもそうなっちゃうってことですね。

土岐:そうなんです。だから、やっぱり製品に特徴がないといけないんですよね。高性能、高安定、低歪み、低インピーダンスなんかが必要になってきて、そっちに向かって開発していくんですけど、「それってパソコンで必要か?」って言われると…(笑)

佐竹:そうですよね。パソコンの電源が入ればいいだけならオーバースペックですよね。

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電源アプリケーション、UPS、そしてオーディオ用電源

土岐:そこで今度は対象機器をパソコンから理化学機器や計測器の方向に変えたんです。例えばチャンピオンデータ(最高条件で測定された通常よりも良いデータ、理想的なデータ)を求めるラボとか。

永松:なるほど、それはニーズがありそうですよね。「きれいなサイン波が出せる電源ですよ」とか。

土岐:自分たちもそう思ってその業界に売り込むんですが、結果が出るまでにものすごく時間がかかるんですよ。「使ってみてどうだったか?」っていうビフォーアフターが必要なんですけど、オーディオみたいに聴いてすぐに「うん、いいね」と判断ができるものじゃないので。何ヶ月も測定した結果やっと判定される。しかも、求めていた測定結果が出ればいいですけど、出ない場合もあるわけです。そうすると売れないんですよね。

永松:医療機器を対象にした製品にはしなかったんですか?

土岐:医療機器もやるにはやったんですけど、やっぱり怖いんですよね。人命に関わるので。

永松:でも今は光城精工さんで医療関係の製品を出されてますよね?

土岐:そうなんですけど、実はUPSではないんです。うちで作っているのは手術室に設置されている無影灯のLED用電源や、シリンジポンプ、輸液ポンプ(点滴)用の電源。あとは医療用電源タップやベッド用の補助コンセントとかですね。
それで思い出したんですけど、医療装置とか理化学機器の検証をする時にはやっぱりお医者さんが関係してくるわけですよ。そうすると、中にはオーディオ好きのお医者さんがいるわけです。

佐竹:おお!やっとオーディオの話に繋がってきた(笑)。

土岐:ここまで長かったね(笑)。でね、「そんなに良い電源ならオーディオにもいいんじゃないの?」って言ってもらえて、それで試しに作って聴いてもらったら「すごくいいじゃないですか」って言ってもらえたんです。だから、前の会社で既にオーディオ向けの製品を始めてはいたんですよ。

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DA-7100 DENKEN(生産終了商品)
オーディオ装置特有の電源への振る舞い

永松:製品としてリリースもしたんですか?

土岐:はい、それもSITを使ってました。でも、その頃の自分はまだオーディオ装置の特性、と言っても機能や増幅といったことではなく、電源に対してアンプやその他のオーディオ機器がどう振る舞うかっていうのが全然わかってなかったんです。だから、作った電源装置はしょっちゅうぶっ飛んでました。

永松:壊れたんですか?供給が足りないってことですか?

土岐:うん。今になって考えると恥ずかしいんだけど、アンプって電源スイッチ入れた瞬間にものすごい電力を要求するんですよ。ドーンと引っ張っていく。

永松:最大出力電流は電源スイッチを入れた瞬間の値ですよね。

土岐:そうなんですよ。突入電流っていうのが発生するんですよ。そのことを知らなかったもんだから、通常の運転状態に入ってからの消費電力とかばっかり気にしてたんです。そうすると起動の時点で電源装置がぶっ飛ぶんですよ。それがわかってからは対策して回避出来るようになりました。
DA-7シリーズって言って結構売れたんですよ。「幻の電源」なんて言われて、結構話題にもなったんです。
でも本業の理化学機器相手の商売が上手くいってなかったもんだから、「事業として成り立ってるのか?」となるんですよね。資金面では潤沢な会社ではあったんですが、私から当時の社長に「ちょっと事業として厳しい。このままでは社長に恩返しできない。このままやっても難しいと思うから会社を畳んだ方がいいと思います。」って言っちゃったんですよ。

佐竹:その会社には結構長くいらっしゃったんですか?

土岐:13年ぐらいかな。そんなこんなで会社を畳むことになるんだけど、そもそも少人数、数名でやってた事業なんで物作りの部分は他の会社にお願いしてたんです。そのお願いしていた会社が光城精工なんですよ。

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そして光城精工へ入社するも…

佐竹:そうだったんですか。取引先だったんですね。

土岐:そういうことです。事業としてはうまく行ってなかったけれど、それなりの数は売れたのでメンテナンスはその後も必要になると思ったんです。それで、その部分を光城精工に「やってもらえませんか?」ってお願いしたんです。そしたら、「じゃあ折角なんで、来てもらっていいかな?」ってことで光城精工の電源事業部が立ち上がって、開発スタッフとして入社させてもらったんです。

佐竹:電源事業部もそれを機に作られたんですね。

土岐:そうなんです。元々うちは半導体の検査装置を作っているメーカーさんの下請けから始まってるんですが、デジカメが大流行りの頃、デジカメの仕事もしていたんです。

永松:組み立ての仕事もやってたって伺いました。

土岐:はい、月産ウン十万台と作って、従業員も250人近くまで増えたんですけど、その後デジカメブームが終わるんです。仕事はどんどん中国に移っていって、社長が全員と面談して…あれは社長も辛かっただろうなって思います。今は30人ぐらいしかいないです。
半導体もデジカメも下請けで、そこにはやっぱり時代の波があるわけですよね。だから自社のオリジナルの物を作りたい、自社ブランドメーカーになりたいっていう気持ちが社長の中にもあったんだと思うんですよ。そんな時期に自分が入社したんで、社長は大いに期待してくれてたと思うんですよね。
でもまあ、これがまたうだつの上がらない事業部でして(笑)。少しずつ右肩上がりになってきたのもつい最近ですよ。永松さんと知り合う2年くらい前からじゃないかな。入社してから10年以上、もうただの穀潰しです。よく首切られなかったなって今でも思います。

永松:そうだったんですか。私が初めて光城精工さんにお会いした時にはまだ仮想アースの印象はなくて、クリーン電源のイメージが強かったです。

土岐:そうですよね。だからそれまではもう本当に会社のみんなに申し訳なくて。みんなが一生懸命稼いだ金を使うわけですからね(笑)。

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いい物を作れば売れるのか?

佐竹:その間も製品の開発はされていたと思いますが、製品化するまでが大変だったってことでしょうか?それとも、製品化はできたけど売れ行きが良くなかったってことですか?

土岐:後者。「いいもの作れば売れるだろう」みたいに考えていたところがあるんだよね。

永松:わかる。「いい物作れば…」って思うんですよね。

土岐:一人よがりなんですよ。エンジニアよがりと言うか。「こんないい物を作ったんだから売れるだろう」って(笑)。実際には絶対そんなことないんですよね。

佐竹:それは現在生産されている製品よりも前のバージョンのお話ってことですよね?

土岐:そうです1世代目の話ですね。今は3世代目くらいになってます。

永松:そう言えば私、「Aray6 MKⅡ買います」って言ったまま買ってないですね。買います買います詐欺になってる(笑)。
【→Aray6 MKⅡ ❘ 光城精工】

土岐:大事に取ってあるから大丈夫!

佐竹:今の永松の発言もちゃんと書いておきますね(笑)。

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クリーン電源の立ち位置と後発の強み

土岐:さっき永松さんがおっしゃったように、その頃は本当にクリーン電源がメインでしたね。でも、それは今でも気持ち的には変わっていなくて、根っこの部分なので変えるつもりはないし、今後まだまだ強化していかなきゃいけない部分だと思ってるんです。
とは言えラインナップも増やしていかなきゃいけないということで電源タップも始めたんです。でも、それこそSAECさんやZonotoneさんも電源ケーブルや電源タップは作ってるし、もちろん他のアクセサリーメーカーさんもいっぱいいる中で、「そんなところで今さら電源タップを作ってどうするの?」とも思ったんです。一方で「でも、電源屋だからやるべきだよね」という思いもあって。
だからもう後発も後発です。でもね、後発なりに優位なこともあって、先駆者がどんなことをしてるか見ることができますよね。それこそ、どんな素材を使っているのか、どんなことに気を使っているのかなども確認できるし、どういう売り込み方をしているのかも見ることができる。そういう意味ではレールを敷いてもらえてるとも言えます。

佐竹:後発の強みですね。

土岐:そうなんですよ。それと、先駆者が出来ていないことはないかも探すんですよ。例えば、実際に製品が使われる現場を想像してみたんです。「お客さんは自宅で電源タップをどう使ってるのかな?」って。日本の一般家屋でオーディオルームを想像すると、大抵は6畳、少し広く取れる人で8畳から10畳ってところですよね。

永松:今いる会議室くらいの広さのオーディオルームをお持ちの方も多いですよね。(収録した会議室は6畳ほど)

土岐:そうすると、試聴スペースを広く取るためにオーディオ機材やシステムは壁際まで追いやりたくなるじゃないですか。ということは、電源タップはやっぱり壁沿いを這わせたくなりますよね。それに、機材に隠れちゃうから新調したことが奥さんにバレなくて済む(笑)。
という感じで、実際の利用シーンを想像して、どんな形状だったら受け入れやすいかとか、喜んでもらえそうかって考えることで、誰もやっていないことを見つけたりできるんです。例えばCrystalシリーズ(旧モデル:Forcebarシリーズ)は形状がスリムですけど、これが誕生した経緯はそういうことです。
【→Crystal 6.1 ❘ 光城精工】

佐竹:一方で、「たこ焼き器」みたいな電源タップも作りましたよね。あれは壁際には置けないと思いますけど、どういう意図があるんですか?
【→JOKER8+VPs ❘ 光城精工】

土岐:「たこ焼き器」ね(笑)。しばらくアクセサリーを手掛けてると、主張もしたくなってきちゃうんですよ。考える人間がこんなだから目立ちたくなっちゃったと言うか。そうなってくるとデザインとかもだいぶ気にしなきゃ行けなくなりますけど、それも好きなことなので楽しいですね。

永松:これは仮想アース入りのクリーン電源、最新の製品ってことになりますか。限定生産なんでしたっけ?

土岐:はい、限定生産ですね。ただ、これはこれで反省しなきゃいけないところもあるんです。とはいっても音的なこととかではないし、たこ焼き器に似てるからダメとかでもないんだけど(笑)。
どちらかと言うと、自分の製品開発に対する心構えみたいな点で反省があって。例えば、既に存在する製品をベースに特別なチューニングや特殊部材を採用するとかして、シグネチャーモデルを作ることもできたと思うんです。でも実際には、今まで採用したこともない技術でいきなり新しいモデルを作っちゃったんです。しかも高額だからお客さんからしてみてもなかなか手出し出来ないと思うんですよね。「良いものを作ったんだから売れるでしょう」っていう慢心ですね。ありがたいことにご評価は頂けて少しずつ売れてはいますけど、完全に天狗になっていたと思うとお恥ずかしい限りで。

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電源タップのバリエーション

佐竹:話を少し戻しますが、光城精工さんの電源タップにはいろんなバリエーションがありますけど、どうやってこれだけのバリエーションが生まれたんですか?

土岐:先ほど、製品が使われる現場を想像してみた結果としてタップをスリムにするアイデアが生まれたって話をしましたけど、それで見えてきたことが他にもあるんですよ。
最近ますます増えてますけど、ACアダプターを使うケースも多いじゃないですか。

永松:あっ、隣の差込口が潰れちゃうんですよね。

土岐:そうそう、それは問題だと思ってて。だから、そういう細かい部分を解決してあげたらお客さんも喜んでくれるかな、と。自分だってそうだったら嬉しい。だからその後の製品では差込口の間隔を開けるとか向きを変えてあげるとかしています。

永松:間隔開いてるんでしたっけ?あんまり気にしてなかったな。

土岐:そうなんですよ。Crystal3.1とかわかりやすいかな。そういう細かい所はまだ他社さんもあまりやってないって感じてて。でもね、それだけで終わらせたくなくて、何かもう1つプラスアルファしたくなっちゃうんですよ。この製品にもあるんだけど、ギミック性を持たせたくて業界初かもしれない連結機能を搭載してます。
【→Crystal3.1 ❘ 光城精工】

佐竹:なるほど。拡張性があるからお客さん側でカスタマイズできるんですね。

土岐:そうそう。これができるってなった時に、自分でも想像してなかったんだけど、どんどんと考えが発展していったんです。最初は「連結できるってことはタップの口数を増やせる」って思ったの、単純に。でも、フィルターのタップとか他の機能を持たせた物を連携すると、その機能が下流に反映できることに気づいたんです。

佐竹:上流側でカスタマイズした機能が下流に行き渡るってことですね。

土岐:そういうことです。しかも、繋ぐ順番を変えると上流には無い機能を途中から持たせることもできるし、電源の系統分けとかもできるようになる。自分でやってて「これは面白いな」って思いました。

永松:Crystal H1Pの「トランスの唸りを解消する」ってどういうことですか?
【→Crystal H1P ❘ 光城精工】

土岐:特に冬場にアンプがブーンって唸ることありません?あれはトランスが唸ってるんです。それを抑制する機能が付いてます。だからこのモデルは冬になると売れるんです(笑)
いずれにしても、そうやって色々と考えたり想像していくにしたがって、見えてなかったことが見えるようになってきて、「こういう機能を入れたらお客さんが喜ぶだろうな」って気づくようになってきましたね。

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4名とも、人前で話すことが苦手と語る

佐竹:その辺の考え方が変わってきたりとか、こういったラインナップが増えてきたのも割と最近ということですか?

土岐:うん、そうですね。認知度がちょっとずつ上がってきたのもその頃だと思う。オーディオ販売店でのイベントはもっと前からやってたんだけどね。そもそも、元はこんなに話す人間じゃなかったんで…あれ?誰も信じてなさそうだけど(笑)。もうそれこそ子供の頃は人見知りでおふくろの背中に隠れてるような子だったんだよ。

佐竹:全くそんな印象がないですね。

土岐:人前で何か話すなんて全然できない子だったし、大人になってからも「やだ。やりたくないよ」って言ってた(笑)。

永松:Zonotoneの前園さんも「人前で話すのが苦手」って言ってましたね。前園さんとの対談でも話したんですけど、自分も昔はものすごい上がり性で、高校の頃は授業で当てられても声が震えて出ない。人前で喋れなかったんです。

土岐:でもそれがいつの間にか喋れるように変わるんですよね。

永松:不思議なもんですよね(笑)。

後編では、「土岐さんの人柄」を中心に「製品群のコンセプト」について触れます。

【後編はこちら】

【OTOTEN2026 共同出展 対談企画】Vol.03 土岐泰義様 (株式会社 光城精工) 前編 続きを読む »